以東岳
2006.10.30
11:10
大鳥小屋
(約960)
対岸に立ちはだかる目的のお山は,上部がガスで覆われ,ところどころ雲間から陽射しが漏れている。
キーンと非常に澄んだ音の通る熊鈴(←ほしい)をつけた登山者が池のほとりを辿ってこちらへ。
未明から登り始めたというこの方,三角峰の先あたりまでは晴れてたのに,すぐにガスに巻かれ,風も強くて寒く,日帰りの予定でもあったので戻ってきたそう。
高気圧直撃のはずだったんだけどな〜。
11:40
大鳥小屋出発
(約960)
さて出発。
こっから以東岳まで標高差700m余り。
水門を渡り,池のほとりをやや進むと分岐。
直進は池のほとりを辿って以東岳への尾根直登コース。左にオツボ峰を経由して以東岳に到る迂回コース。
今回は見晴らしの良いであろう後者とした。
分岐後しばらくはブナ林の急坂。
振り上げるひざが腰の高さより上になると,足が悲鳴を上げ始める。
しばらく急坂にあえぐと,次第にダケカンバのトンネルになり,これを抜けると斜度も緩んで森林限界へ。
振り返れば大鳥池も俯瞰でき,周囲の草紅葉の山肌も間近に。
上空の空模様はぱっとしないが,徐々に雲間が広がってきた。
小さな池塘のある鞍部を挟んで見晴らしの良い草紅葉の中の道へ。
登山道は,三角峰の南側を巻いて稜線上に向かう。
見えてきた南東側の様子は,水蒸気が多目ながら青空も広く,大朝日岳に連なる主稜線もぼんやり視認できる。
一方,時折ガスの中からちらと姿を見せる以東岳だが,なぜかえらく遠くに見える。
それもそのはず,(飲料水をケチったせいか)ここへきて悲鳴を上げていた両腿がつり,しばし悶絶。
以後スーパースローペースでの歩きを余儀なくされる。
それでも朝日連峰の尾根歩きは眺めが良くって楽しい。
次第に陽が傾き,尾根を吹き抜ける風が冷たく,シェルを羽織る。
14:15
オツボ峰
(約1630)
オツボ峰を過ぎたあたりから道が一部悪い。
南東側にスパッと切れ落ちた斜面上の滑りやすい傾斜地に道がついていたりする。
足を滑らせれば命運尽きようかという危うさ。
尾根上ぎりぎりについてた道が崩落してこうなんのかしら?ともかく冷や汗もんだ。
いくつかのピークを越えて一際鋭い岩稜を越えると以東岳はもうすぐ。
15:30
以東岳山頂
(1771.4)
緩い稜線をのろのろ歩いてついに辿り着いた山頂は…ガスの中。ここだけガスが取れん。
夕景を期待させる明るさだけはある。
ひとまず山頂を越して,5分ほど下った尾根上に建つ以東小屋へ。
15:35
以東小屋
(1720)
どうやら以東小屋は貸切。
小屋内は窓が多くて明るく,割と掃除も行き届いて快適。
早速寝床作り。誰もいないんでスペース使い放題なのがありがたい。
夕景の撮影に備えてダウンとオーバーパンツを着用,寝床と飯炊きの準備まで済ませて一息ついてたら小屋内に陽射しが…。
あわてて機材を持って外へ飛び出すと,未だ風だけは止まないが,すっかりガスは抜けて快晴,草紅葉の山肌がぎらぎら輝いている。
わーはははと一人山上で大笑いしながら(←あほ)山頂へ。
16:00-17:00
以東岳山頂
(1771.4)
疲れもぶっ飛ぶ主稜線の夕景。
およそ1500m以下はもやのかかったような状態ながら,上はすっきり。
北方に月山と鳥海山も同様。うまいこと抜けてくれた。
以降,日没まで一人山頂でお祭り。
あんまりにも快晴で日没後の焼けはほとんど無かったが,夕刻の雲海は美しゅうございました。
小屋に戻って晩飯を済ませ,シュラフに入って本日のカットを振り返りながらしばしまどろむ。
次第にうとうとしてきところでこの日はもうおやすみ。
明朝の日の出は6時ごろにつき,5時に目覚ましをセットして就寝。睡眠時間たっぷり。
…やっぱり夜中に起きた。そんなにたっぷり眠れるか。
しかしなんですね。小屋をこする風の音が人の声に聞こえたり,ミシっという建物の音が誰かの足音に聞こえたり,すぐ隣で誰かがじっと見てんじゃないかと思えてきたり。
割と怖がりのくせに一人で年中山入ってます。