鳥海山 象潟コース・百宅コース(唐獅子平)
2007.10.23
ウレシイ撮影ご依頼で鳥海山。
象潟(きさかた)コースで山頂経由,百宅(ももやけ)コース8合目唐獅子平(からじしだい)避難小屋泊の往復。
当日朝は昨晩からお世話になった酒田のじゅんぺちゃん宅でまったりしすぎ,遅めの出発。
錦秋のブルーラインを上がって鉾立(ほこだて)へ。
下界から見えてた通り西鳥海は低い雲に覆われている。
気圧の谷通過後,明日日中にかけて高気圧直撃の見込み。
巨大な片流れの屋根が遠くからでも目につく稲倉山荘(だったかしら?)は,跡形も無くキレイさっぱり無くなって,駐車場北側にこじんまりとした同名の建物が建築中。
9:40
鉾立出発
(約1160)
さて入山。
鳥海はどっから登っても(わざわざ下から入らない限り)スタートから森林限界で気分がよろしい。
左に奈曽の渓谷,右に笙ヶ岳に続くなだらかな錦秋の山肌を見ながら,緩〜い石畳の道がしばらく続く。
この緩さが体を温めるには好都合で,初めて持ち込んだノルディックウォーキング用のポールも調子イイ。
腕を動かすのは,重いザック担いだ時の肩の血行促進にも有効な気が。
あたりの紅葉が次第に熊笹の緑と草紅葉にとって代わられるころ,頭上を覆ってたガスの中へ。
11:00
賽の河原
(約1530)
賽の河原を過ぎ,ひたひたと視界の無い石畳を上げ,道端にちらほらと雪が現れ始めると,間もなく御浜小屋到着。
鳥海湖は全く見えない。便所休憩。
11:30
御浜小屋
(約1700)
御浜小屋前を出発。
扇子森を越えると一旦下りに。
この東向きの斜面にちらほらとまとまった積雪有り,今季初めての積雪を前に気分高揚。むやみに雪を踏みまくる。
再び登りに転じて蛇石流右岸の道を上げると,後方のガスが取れ始めて扇子森から笙ヶ岳,鍋森方面と青空が見え隠れ。
向かう文珠岳方面も明るい陽射しと青空とまばらに積もる雪がイイ感じ。
そろそろ西鳥海に被さってたガスから抜け出せたか?とぬか喜びも,七五三掛(しめかけ)に達するころには再びガスの中に。
七五三掛で少々の燃料補給。
12:30
七五三掛
(約1800)
ここ七五三掛から時折ちらと山頂方面が見え隠れするものの,すぐにガスに巻かれる。
千蛇谷に切れ落ちた先がガスに阻まれ,得も言われぬ迫力。
七五三掛出発。
七五三掛の先で左に千蛇谷へのコースを分け,右に外輪山を辿るコースへ(個人的に千蛇谷は中島台へ滑り降りる以外に価値が…)。
新山を経るには時間的に難があるため,外輪山を辿ってそのまま唐獅子平に降りることに。
ちなみにここから本格的に登山。
両手の活躍する岩場が文珠岳,伏拝岳まで断続的に続く。
岩場に垂れ下がる氷柱が立派になってくるころ,次第に道も雪に覆われ始め,ハイマツ等の低潅木にもエビの尻尾が発達し始めている。
足場の悪い岩場やはしごのかかる道が連続。
ところにより左側足元がノーガードで千蛇谷。ひとコケ即死亡の戦々恐々の道。
次第に斜度が緩んでくると伏拝岳到着。
13:55
伏拝岳
(約2130)
そして間もなくガスが取れ始め,ぶわっと青空。
南側眼下には雲海が広がっていた。
朝方晴れてた庄内平野も今はすっかり雲の下。
千蛇谷はガスを伴った風が吹き荒れてるが,時折抜けて新山や山頂小屋も姿を現す。
14:25
行者岳
(2159)
尾根上につき当然覚悟はしてたが,ガスを伴った冷たい風が強さを増してくる。
時折通過する尾根上の吹きさらし部分はブレーカブルクラスト。
足元から左下にスパッと切れ落ちた千蛇谷が恐怖だ。
幸いクライアント様は軽アイゼン持参。ステップ切りながらのワタシは,より積雪の多いであろう山頂東側の百宅コースを下れるかが心配に。
もしステップが切れないようなら御浜に引き返さざるを得ないなぁ。
雲海の西鳥海に対して東鳥海は見晴らし良し。
足元の真っ白な雪が標高を落とすにつれ草紅葉,低潅木の紅葉,そして裾野に広がる広大な森の紅葉一色に。
湯の台方面,鶴間池周辺も紅葉真っ盛りぽい。
道は概ね千蛇谷とは反対側の尾根下で,東鳥海に回り込むほど西風の影響は減少,足元の雪と眼下に広がる紅葉の眺めが幸せ一杯なロケーションだが,千蛇谷に収束した西風が猛烈な勢いで吹き上がる尾根上は過酷そのもの。
ガスが切れたころを見計らって,えいやっと次の岩陰までの逃避行。
14:55
百宅コース下山口
(約2200)
さて,ようやく外輪山を新山の東側まで回りこむと,百宅コースへの下り分岐。
さすがに風下の東斜面は積雪量が多い。
懸念された雪の硬さは…おお,なんとか大丈夫,ステップが切れる。
全く雲のかからない東側は見通しもよく,目標の唐獅子平避難小屋もバッチリ視認可。
登山道自体もなんとか判別可能で,慎重にステップを切りながら高度を落としていく。
ここで切るステップが無いと翌朝のカチコチの雪道は登れん。歩幅を小さめに刻んでいく。
高度を落としていくに従い雪が緩んでくると,登山道は踏み抜きトラップの連続で一苦労。風下ながらわりと風もある。
西日で小屋が山の影に隠れるころ唐獅子平避難小屋到着。
16:10
唐獅子平避難小屋
(約1660)
熊のあたりから東に平野部を覗き込んだら,ナント影鳥海!…まぁいいか。
そもそも人の入りの少ない百宅コース。初冬の平日の小屋は当然?貸切。
早速寝床を作って飯炊き。
備え付けの石油ストーブの着火にやや苦戦したものの,暖かな晩を過ごせた。感謝感謝。
日が暮れても月明かりで雪山はくっきり。月が沈む翌未明には星空も拝めそう。
夏の山小屋は日暮れとともに寝ちまう人が多くて,明かりをつけて話をしてることもはばかられるが,いくら朝が早いからって普段そんな生活してないのに18時とか19時に寝れるわけないし,運よく寝れても23時とか0時あたりに目が覚めて暇でつらい夜を過ごす羽目になんだよネ。
貸切の今回は時間に融通が利き,まったり過ごして22時過ぎ就寝です。
外は風が止まず,戸や窓の外扉をガタガタとゆすってやかましい。ちゃんと留まってねーのかなと小屋周りをぐるっと点検に行くが,可動部分はしっかりと固定されてる。
小屋内に戻ってしばらくするとまたガタン,バタンと…誰かがひっきりなしに出入りしてるみたいだ。
きっと小屋の魑魅魍魎が我々の様子を伺いながらウシシと小屋内を駆けずり回ってるに違いない。と思えてくる。