尾瀬
2006.8.16
尾瀬までの自家用車の終点,御池で迎えた朝。
御池〜沼山峠間のバスの始発4:30a.m.の一時間ほど前にむくっと起き出して空を見上げると,不順な週間予報を覆す満点の星空。
テンション急上昇で朝飯用に買っておいた惣菜パン3個を口に詰め込んで,黎明の空をカシャカシャ撮影。
…していたら,あっという間に始発便の発車時刻。
あわてて撮影機材をまとめてバスに乗り込む。
4:30
御池からバス発車
(約1500)
御池への車中から北東の空は,途中下車して三脚立てたいほど美しいオレンジ色のグラデーション。
向かう沼山峠方面は,恐らく沼に立ち込めているのであろう朝霧が峠を越えて流れてくる。
バスの終点,沼山峠は夜明けでぼんやりと明るくなった霧の中。
既に準備は万端,早速入山する。
4:50
沼山峠休憩所
(約1700)
沼山峠から尾瀬沼間は全線木道が整備されて歩きやすい。
途中追い抜いた親子連れの子のほうは,その後しばらく衛星のように周りをぐるぐるまとわりついて離れず,沼山峠の展望台にさしかかると「疲れるから休んだ方がいーよ」と非常に面倒見が良い(笑)。
歩き始めて間もないんで休憩は遠慮して歩き続ける。
峠を越えて大江湿原までの緩い下りには,あちらこちらにツリガネニンジンの花。
以前はヒメシャジンと思ってた。雌しべの出具合がシャジンは短いらしい。
ちなみにシャジンはツリガネニンジンの中国名らしい。
5:40
大江湿原
(約1680)
間もなく斜度がなくなると,森を抜けてぱっと明るい大江湿原へ。
コバギボウシが目立って咲いているほか,生き残りのニッコウキスゲやミズギクもちらほら。
ちなみにコバギボウシとミズギボウシの見分けはワタクシにはできません。
大江湿原も核心に近づくと,マルバダケブキやミズギクの黄色,コオニユリのオレンジ,コバギボウシやサワギキョウ,アザミの紫色と次第に華やかに。
未だ湿原は朝霧の中だが,淡い光で良かったかも。
6:20
尾瀬沼ビジターセンター
(約1670)
間もなく尾瀬沼ビジターセンター到着。
朝霧の立ち込めた尾瀬沼周辺,陽が差し込み始めると同時にこの朝霧が取れて沼と燧ヶ岳が浮かび上がる景色を期待していたが,まったく理想的な展開。
沼畔に直行して三脚をおったて,その時を待つ。
準備完了後間もなく,大江湿原に陽がさして霧が取れ始めた。
長いこのツアー,初っ端からバンバン撮り過ぎだな〜とメモリ残量を気にしつつ,撮り逃せばそれこそ後の祭り。シャッターを切りまくる。
次第に沼の霧も取れ始め…期待通りの展開に,ひとり七横映画祭状態(←分かる人には分かる)。
周りにいた数名の方もぴろりろりん(←携帯)と写真を撮ったり感嘆の声が洩れていたり…いい時間だ。
そんな中しきりに「大変ですね〜」と気にかけられるのは今回の撮影機材。
ボディ+レンズ3本+三脚で締めて6kgほどを2泊3日のテント山行フル装備に加えた。
こりゃさすがにワタクシも効いてますぜ,この時点で既に。冬に向けてのトレーニング。
7:20
尾瀬沼ビジターセンター出発
とりあえず満足して出発。
尾瀬沼南岸を辿って沼の西端,沼尻へ。
途中,尾瀬沼東岸の釜ッ堀と西岸の小沼湿原にはワタスゲやキンコウカなんかも見られるが,その他は森の中の歩きでほとんど見るもんねーな〜。
「沼と燧」な風景は随所にありますがね。
8:40
沼尻休憩所
(約1660)
小沼湿原を過ぎると沼尻の休憩所。
この休憩所はオープンエアーな感じがとても好き。
朝霧が取れた後の強烈な夏の日差しがじりじり照りつける沼尻平だが,この休憩所に限っては沼をわたる風が肌寒くさえ感じるほど。
重い荷物を降ろしてしばしの休憩。
ここから見上げる燧は山頂に雲がかかり始めている。
9:15
沼尻休憩所出発
休憩後,尾瀬ヶ原の見晴に向けて出発。
少々針葉樹の森の中を歩くと間もなく白砂湿原。
ここに至る直前の沢のそばで「忘れてた!」て感じのニッコウキスゲが一輪だけ咲いていた。
キンコウカの咲く白砂湿原を過ぎ,急な登りを少々こなすと白砂峠。
ここより見晴まで長い長い段小屋坂の下り。
ひところよりも随分木道が整備されたようだが,これって結構足の裏痛くなんだな。重い荷物背負ってっと。
もくもくと見所の少ない森の中を歩いていくうちに,やがて立派なブナが目立ち始め,発電機の音が聞こえてくると間もなく見晴到着。
10:50
見晴
(約1420)
実は初日,原を縦断して山ノ鼻で幕営と考えてたが,もうダメだー。荷物が重たくってかなわね。見晴に幕営し,余計な荷物をデポして原に出ることにした。
燧小屋にて2泊分の幕営申込み(1600円。タケー)。
キャンプ場にはこれまた随分と立派な無料休憩所が新設されていた。
それから炊事場が潰れていた。こりゃ困んな。休憩所に屋根のかかったテラスはあるが,「火気厳禁」ときた。
結局水は休憩所の靴洗い場で確保,煮炊きはその辺でやるほかない。雨降んねでけろよ。
じりじりと暑い無風のキャンプ場で設営を済ませ,できるだけ荷物をデポ。
まずは見晴地区で昼飯にする。
実はこの山行のメシ,各日の朝夕分は用意してきたが,なんぼかでも軽量化を図りたく,昼飯のみ現地調達とした。
良し悪しは別にして,尾瀬は金さえ積めば(あんまり無いけど)なんでも手に入るのである。
ガッチリ炭水化物をとカレーライス。
先日知人が食って撮ってきたカレーの写真が割りと小さく見えたんで,大盛(800円→900円)を頼んだら,食いきれないほどの盛に汗かいた。
燃料満タン。原へ出発。
12:40
見晴出発
(約1420)
デポした割りに重てーな〜荷物。
撮影機材は一点たりとも省けず,これが効いてるに違いない。
明日も丸一日あるし,とりあえず竜宮ぐらいまで行けりゃいいかな〜。
朝の好天とは打って変わって大分雲の多い空になってきた。夏の積雲。
相変わらず下田代は広大な原っぱでほとんど何にもありませんな…。
六兵衛堀と沼尻川の拠水林を越えると中田代へ。
13:10
竜宮小屋
(1401)
竜宮小屋の周辺にはコオニユリが,竜宮十字路付近の池塘にはヒツジグサなんかが咲いていて,モウセンゴケも非常に目に付く。
足の裏はイテーが雷の時間にはまだ早い。もうちっと足を伸ばしてみよう。
木道沿いにはサワギキョウも多く,キンコウカや終わりかけのワタスゲが揺れる湿原を歩いていれば,足の痛みも忘れられる。わけあるか。んでも写真は撮る。
次第に雲も多く日もかげってきたため,多数の池塘と白樺の印象的な下ノ大堀川の手前で本日は打ち止め。引き返すことにした。
14:10
下ノ大堀川
(約1400)
んで,竜宮に差し掛かったあたりで,西の方角より雷の音が。
実はその方角にはそれらしい積乱雲もなく,新潟側の下界の音かしらんとそのまま歩き続ける。
結局見晴に到着するまで,遠方からの雷鳴はたびたび聞こえていたが,原への影響はなかった。
15:00
見晴
(約1420)
見晴のテントは西日に照らされて熱気むんむん。日没後まで入りたくねーなぁと,無料休憩所のテラスでぼんやり過ごす。
うとうとしていたら西日もかげり始め,小学生のグループが飯炊きを始めていた。
とは言ってもパックの白米にレトルト。実はこちらもすっかり同じスタイルであった。
17:00
夕食
彼らが食事を終える頃,腹も減ってきたしそろそろ…と支度を始めようとしたら,ざぁっと降ってきた。ついてない。
未だほてったテント内から身を乗り出して湯を沸かす。今晩はすき焼き丼。
入り口を開けっぱにしとくと容赦なく虫が入り込むんで,頻繁に網戸を閉めるが風が通らず蒸す。
飯ができたところでサウナ室でお食事タイム。あーとりあえず食った満足したわ〜と後片付けを始めたら,雨はお上がりになりました。
相変わらず雲は多いが,焼けろ焼けろと念じて休憩所のテラスで一休み。
子供たちのきゃあきゃあ言う声を聞きながらウトウトしていたら…何気に西の空が赤い?
カメラと三脚を持って原へダッシュ。
結果はう〜んで感じで。
日が暮れるとやることもなく,寝ちまえおやすみなさい。
ちなみに夜半はやっぱりタイヘン涼しい。
保温されていたテント内の空気もすっかり冷えて,結局シュラフは活躍した。