岩木山・湯ノ沢-岳コースB
2005.3.8
重そうな雪が落ちる津軽平野を突っ切って岩木山の麓へ。
百沢温泉を過ぎると幾分降っているものも軽くなったかな?
して,岳到着。
いまひとつ登山口が判然としないが,“らしい”駐車場?に車をとめて支度開始。
相変わらずこんこんと雪は降り続くが,風が強いわけでもないからそれほど気分が重いわけでもない。
9:15
岳
(約470)
支度を済ませて林の中へ。
わりと混んだ林の中,ここを降りてくんのはお仕事だな…と思う間もなく,登山道と思しき広い伐り開きに出た。はぁ〜これが。登山道兼スキーツアーコースってとこかな。
ここより先はまったく苦労知らず,迷いようの無い明瞭なコースをつめることとなる。
空は雲に覆われたままだが,いつの間にか雪もほとんど降り止み,時折り薄日なんか射しちゃったりして…悪く無い感じ。
途中右手の視界が開けると,そこはなかなかにでかい沢(湯ノ沢)。ふんふん。
ところで,この登山道,なんだかキャットか何かが走った様な跡がついてる。
なにかぷんぷん臭うぞ…違和感を覚えて振り返ると,けたたましいエンジン音と共に雪煙を上げてキャットが1台迫ってきた。
道の脇に避けて(←今思い返すと,山ん中で車に追い立てられるって…)徐行するでもなく我々の脇を疾走するキャットを見送り,しばらくポカン…。
屋根の上にボードが何枚か。
「abe君っ,ありゃ何だ!?おれらが稼いできた標高差と時間はナンだったんだ!?」
目の前で繰り広げられた理不尽な光景(乗せてくれ)。
いやまぁ落ち着けハイ深呼吸,ハァ〜。
キャットが走り去って静寂を取り戻したブナ林を再び歩き始める。
徐々に青空ものぞき始め,真っ白な雪面に落ちるブナの影が美しい…ガラガラガラ(←空のキャットが降りてきた)
再び道の脇に追いやられて,一瞥もくれずに猛然と走り抜けるキャットを見送った。
気を取り直してパフパフ歩き始める。
いつの間にかいい雪。今朝方のみぞれが嘘のよう。
まもなくキャットがおろしていった支度中のボーダーに追いついた。
んで話を聞いてみると,やはり下の宿の宿泊者向けのサービスらしい。
おそらくスカイラインスキー場で使ってたヤツなんだろう。
ここから上はキャットも入らないらしく,膝下からところにより膝上のラッセル。
んでもこんなに頑張ってきてファーストは譲れんと,abe君と猛ラッセル×ラッセル(←ホント頑張った)こ〜んなにいい雪だ,おめおめと引き下がれるか,わーははは。クルシ。
して,樹高がかなり低くなってきた頃,すっぱーんと青空様,眼前にどかーんと鳥海山。
低迷していたテンションも一気に爆発。ラッセルも加速する。
キタゼー,ゼーッタイユズラネー。わ〜ははは喘息が…
森林限界上に出るとまったく青と白の世界。
尾根上はところどころクラスト気味だが,右手の沢はフカフカ。
行く手に8合目(スカイライン終点)のリフト下駅が見えてくると,ひと頑張りで到着。快晴だ!
11:30
8合目
(約1250)
眼下には楽しそうな湯ノ沢の地形と,下に岳の集落,西には真っ青な空と同じく真っ青な日本海。
今朝の重苦しい天気からは想像しがたい美しく雄大な景色が広がっている。
忍耐の賜物だ。
ここより上は岩と氷とシュカブラの世界につき,リフト下駅から少し上がった地点より沢へドロップすることに。
本格的に沢になる前に,湯ノ沢を挟んで東の尾根が嶽コースA,西の尾根が嶽コースB(←登って来た)と,それぞれ明瞭な伐り開きがあるが,今回は湯ノ沢を落とせるところまで落として嶽コースBに上がることにした。
相当の頑張りのおかげで,件のボーダーは未だはるか下だが,彼らを抜いた二人連れの登山者がすぐに追いついてきた。
「ラッセル助かりました〜」
— イエイエ,オタガイサマデスカラ。
(ファースト持って行かれたくなかっただけ。)
山頂を目指すお二人,この天気だから景色の良さは登山者冥利に尽きるだろうな。
11:55
ドロップ
(約1300)
早速雪掘り確認後,abe君からドロップ。
抜ける青空とこの地形,ロケーションは抜群。
うれしそうに飛び込んでいくabe君の雄たけび。

続いてワタクシ。
陽射しが強く,やや雪が重くなった感もあるが,まだ良い部類。
広いボウルを落とすと沢状へ。
右に左にと当てながらどんどん沢を落としていく…だいぶ重くなってきたかな。


目論見どおり滝もなく素直に落ちていく沢を滑っていくうちに斜度が緩み,沢が広くなってきた。
高度計を確認しながらそろそろかなと思ったところで右岸にあがるところがないかトラバース。…してみたが,まだ尾根上のコースには遠く。
さらに沢の中を落とし,堰堤が現れたところでストップ。
振り返ると真っ青な空に真っ白な鳥海山が映えて美しい。
ここでしばし燃料補給。
休憩後,右岸に上って嶽コースBに合流して以降は登りのトレースを辿るが,緩い上ややブレーキング。
結局駐車場まであと少しのところでストップ。
登りでは気付かなかったホントの登山口の方を回ってゴール。
ドカンと締められたような気がするぞ!このトリップ。
道具を片して,すぐ下の岳の温泉でひとっ風呂。
ここのお湯も百沢同様,匂いが良くて柔らかい。
木製の浴槽が肌に心地よく。
ここまで来て弘前素通りてのも惜しいが,時間も時間だ,寄り道せず東北道に入り,びゅ〜んと仙台まで300キロ。
結局北海道から東北まで全行程運転のabe君,ありがとさんのおつかれさん!
「濃密の日々」シリーズおわり。また来年お会いしましょ〜。