TOP>山行記録[山別日付順]>鳥海山
2002.5.25-26 鳥海山(七高山)
(06:45)5合目祓川-(08:04)8合目七ツ釜-(09:14)9合目氷の薬師-(10:21)七高山山頂-(11:03)9合目氷の薬師-(11:13)8合目七ツ釜-(12:07)5合目祓川
今年2度目の鳥海山,toco氏は初めてなので,前回登った祓川コースとし,今回は案内役に徹する。
25日夕方に仙台を出て,翌朝アタックの計画。
夕方4時,泉ヶ岳(天気:快晴)でtoco氏を拾い,中新田・鬼首・雄勝経由で鳥海山の麓,矢島町へ。

鬼首を過ぎ,仙秋ラインの宮城・秋田県境付近から時折り強い雨が降り始める。
秋田に入ると,雷を伴った強い雨が断続的に続き,天気予報で覚悟はしていたものの,宮城県側との落差にちょっとガックリ。

ひたすら国道108号線を辿り,日も完全に暮れた頃,鳥海山北東の町,矢島町着。スーパーで今晩と明朝,昼の食料と酒を調達する。ちょっと雨が上がってきた。夜半から天候快復の予報だったので一安心。一気に駐車場のある5合目の祓川へ。

上がり始めて間もなく,激しい雷を伴った強い雨に見舞われる。高度を上げていくと,更に5�o大ほどのバカデカいヒョウが降り始め,車に穴があきそう。そっちこっちに走る稲妻にビビり,そのたびに暗闇の中に浮かび上がる巨大な山塊に畏怖の念を抱く。間もなく激しいガスが加わり,視界数メートルの状態に。超低速走行を強いられ,かなりブルーな僕の横で,toco氏もやや切れ気味。盛んに奇声を上げている。
祓川まで間もなくのところに来て,ヒョウが勢いを増す。なんと,路面にヒョウが降り積もってきた!夏タイヤがとっても非力。コーナーでずるずるスライドし,直線でもほとんどグリップしないマッズーイ状態ながら,なんとか惰性で祓川駐車場にすべり込む。
仙台から約3時間半。

駐車場から100メートルほど先の祓川ヒュッテには,猛烈な雷とヒョウとガスで近づけそうにない。ていうか,車からでられん。ガスで遭難してヒョウで体に穴があいて雷に打たれて死にそう。駐車場のトイレにぴったり寄せて駐車し,水とトイレを確保。

これからどうしようか思案していると,このクソ天気の中,下から車が1台上がってきた。こちらにゆっくり近づいてくると,車を降りて「すいません」と謝りながら歩いてきた。しょうがないからドアを開けると「山小屋はどちらでしょう?」ときた。“駐車場の奥から100メートルほど先で車では行けませんよ”と言うと,なんとこの状況の中歩いていってしまった!・・・死にませんように。

車中に缶詰で,やることもないので,買ってきたおにぎりなどをつまみにビールを飲み始める。
2本目のビールも空け,しばらくマッタリしていると,雨も上がり,視界も良くなってきた。祓川ヒュッテも余裕で行けそうだが,なんだかメンドクサくてそのまま車中泊に。翌日の天候に期待して就寝。
翌朝の祓川駐車場。ヒョウはすべて解け,路面が乾いている。4月に壁になっていた駐車場の雪はもうほとんど無い。
夜半から天候回復の期待もむなしく,空は相変わらずドンヨリとしていて,6合目賽の河原から上はガスの中。
一組の登山客が上がってきて準備しているが,まだ時間も早いからいいかと2度寝する。
5:52
ふと目を覚ますとなんと日差しが!8合目七ツ釜のあたりまでガスも上がり,山スキーヤーもどんどんあがってきて支度している。あわてて飯を食う。4月には燃料切れがかなり早かったので,今日はおにぎりやラーメン(朝からか!)を腹いっぱい詰め込む。
6:45
祓川ヒュッテ脇の竜ヶ原湿原入口。4月には雪原の下に隠れていた木道も現れ,水芭蕉も咲いている。
急いだ甲斐も無く,またガスが下がってきた。ま,予報では寒気も東に抜け好転の方向なので・・・。
8:04
7合目御田上部の急坂を詰めると,七ツ釜の避難小屋へ。雪解けが進み,潅木の中に隠れている。この潅木のおかげで直登出来ないところが多い。
黄砂で汚かった雪面が,昨晩の降り積もったヒョウで白いのがちょっとうれしい。
視界が利いていたのはこのあたりまで。
9:14
8合目七ツ釜から先,9合目氷の薬師までの大雪路は広大な雪原で,視界の利かない場合はほぼ等間隔に立っている赤布だけが頼り。でもこの間隔が意外と広くて,よく目を凝らしてあたりを見回さないといけない。先客のトレースを参考に慎重に方向を決める。(真っ白なので写真なし!)
大雪路を詰めると,大きなカール状の地形の9合目氷の薬師付近に到達。見えるのは潅木ぐらい。
9合目から山頂までの舎利坂に差し掛かると,また,赤布とトレース以外よりどころが無くなる。
積もっているのがヒョウというよりは,新雪ぽくていい感じ。4月よりとても寒く,段々風も強くなってくる。
長い長い急登の舎利坂だが,朝飯をしっかり食ってきたので絶好調。ザックザックとアイゼンを履いたブーツを雪面にけり込み,快調に高度を上げていく。
途中toco氏は燃料切れで,甘い菓子パンを食って「タスカッタ,タスカッタ」とタイヘンありがたがっていた。
10:21
外輪の最高峰,七高山(2229.2m)登頂。強風が吹き荒れている。
実は山頂は雲海の上なんじゃないかと期待していたがガックリ。
山頂の向こう側は断崖絶壁で,ガスで真っ白,何も見えず。その深い谷からとてもデカイ滝のような大音響が風とともに迫ってくるのでタイヘンビビる。 toco氏は逆立ちポイントを物色中。
そして下が山頂。方角的には,この向こうに最高峰,新山(2236m)が見える。4月には行けなかったので今回こそはと思っていたが,冗談じゃない感じ。荒天のおかげで4月よりも山頂は雪がつき,ガスが凍り付いてできる「エビの尻尾」が発達している。
安全そうな場所を見つけて逆立ちし,ご満悦のようだが,できれば断崖の上でやって欲しかった・・・。
なんとなく空も明るいし,これからガスも上がるんじゃないかと淡い期待をいだきながらしばらく山頂で天候の回復を待つが,なんだか一向に状況が変わらない。これ以上山頂でゆっくりしているような状況でもないので,降りることにする。

それにしても山頂直下の斜面はデカイ!新雪のおかげで滑りも絶好調。ハイシーズン並みのコンディションかな?登ってきたトレースと赤布を頼りにどんどん滑り降りる。
11:03
ふと,急に視界が開けてきた。氷の薬師を過ぎ,大雪路に差し掛かったあたり。やはりガスは確実に上がってきてた。
滑ってきた方向を振り返ると,登りでは真っ白だった氷の薬師まで視界が利く。降りるのを早まったかなぁ・・・。
青空も見えてきて,一気にパラダイス度が上がる。それにしてもこの大雪路は斜度が無いけど,とっても広くて爽快!
11:13
大雪路を降り,七ツ釜避難小屋の上部。
緩やかだった大雪路から御田にストンと落ちる感じ。ここでしばらく休憩,景色と空気を堪能する。
鳥の声と風の音しか聞えない。「最高だ!」を連発。
滑降を楽しめたのは御田までで,その下は雪解けで現れた潅木にさえぎられ,トラバースの連続。途中板を外して潅木を渡る。
11:47
そうこうしているうちに,竜ヶ原湿原に到達。
昨晩のヒョウで水芭蕉もボロボロ。ちょっと残念。
12:07
祓川ヒュッテから山を振り返ると,なんと舎利坂の中ほどまで見えてるじゃないか。でもまぁ,しょうがないよねぇ。
今回は上での視界が無かったけど,雪は良かったし時間も早かったので良しとしよう。
祓川ヒュッテのそばで出会ったおじさんが,「湯の台(鳥海山南側)への道路が6月上旬に開通」とか言ってたな。そっちも行きたいが,ワールドカップサッカーも見ないとイケナイしなぁ・・・。
祓川の駐車場。帰り支度をし,上で食えなかった昼飯を食う。
山を降りる途中,ヒョウの被害を免れた水芭蕉が咲いていた。
帰りはtoco氏推薦の酒田市のラーメン屋に向かうが,あいにく臨時休業。
おまけに,鳥海山の南側をぐるっと回って帰る途中,山頂のガスも取れて結局快晴となった鳥海山を見て,toco氏は泣いていました。カワイソー。
TOP>山行記録[山別日付順]>鳥海山