岩手山
2005.2.12
課題というか恋慕というか…あぁ麗しき南部片富士,岩手山。
気圧配置が最も好ましく思われた連休中日,未明3時過ぎに仙台を発ち,ケチケチ下道を運転することおよそ4時間半。
たどり着いた岩手山東山麓,焼走り登山口から仰ぐ岩手山は,山頂に雲がかかってはいるものの,広く青空に覆われて風も弱く,明るい陽射しは絶好の山行日和。
登山口の駐車場には既に車が2台。
二人連れの登山者と単独の(専ら登り用ぽい短い板の)スキーヤーが支度中であった。
年末の偵察時より増した積雪,溶岩流の上に駆け上がって様子を見ると,ゴロゴロした溶岩はすっかり雪に覆われて広大なゲレンデになっていた。
8:00
焼走り登山口出発
(約560)
はやる気持ちを抑えながら支度を整え,準備万端,登山口出発。
前出の二人連れの登山者はすぐに溶岩流を上がっていったが,ナニブン情報の少ないワタクシ,予定通り登山道を辿る。
先行のスキーヤーも同様にこの登山道。
雪はくるぶし程度しか沈まず,ほぼ平坦な地形と相まって,いいペースを保ち続ける。
針葉樹林の中ながら,わりと細かなヤブが枝を伸ばしてうるさい。
途中,先行のスキーヤーは道をそれて溶岩流に上がっていった模様。
細かな地形やヤブに辟易してきたところでワタクシも溶岩流の上へ…いや,早く上がっておくべきであった。
広く見晴らしの良い溶岩流の上は,歩いていること自体が楽しく,行く手に大きく迫り来る東斜面にドキドキわくわく。
結局,登山者同様,駐車場からすぐに溶岩流に上がるのがよろしいようで。
延々と溶岩流のゲレンデを好きなように歩き続け,スキーヤーのトレースに合流。
だいぶ彼方に姿が確認できたが随分速いペースだ。
登山者のトレースも合流して間もなく彼らを抜く。
けっこう大き目のザックを背負っていたが,8合目の小屋にでも泊まるのかな?
9:15
焼走り溶岩流のトップ
(約840)
徐々に溶岩流の幅が狭まり,斜度が上がってくると溶岩流のトップ到達。
これより先は登山道に入っていくが,これがあまり明瞭でなく,且つヤブがうるさい。
雪の深さもやや増して少々ラッセル。
しばらく見晴らしの無い密林をモクモクとハイクアップ。
登山道は上下に並ぶ第2噴出口跡と第1噴出口跡の間を抜けていくようについているはずだったが,いつのまにか第1噴出口にたどり着いた。
10:10
第1噴出口跡
(約1200)
ここから唐突に視界が開け,まったく何も無いフラットな斜面がただひたすら空(てか,雲の中)に向かって延びている。
先行のスキーヤーはスキーを脱いでつぼ足に切り替えていた。
山頂方面の雲は相変わらずで見通せず,木立を抜けると急に風が吹き抜け,ゆるゆるだった気持ちも引き締まる。
とりあえずは視界の利く高度まで,若しくはアイスバーンになる手前までと決め,厳しくなりそうなハイクアップを前に,最後の木立のたもとで燃料補給。
ほーんと,どこまでもフラットでなーんにも無いわ。
手早く燃料補給を済ませて再出発。
一歩樹林帯から抜け出すと,柔らかいながらもほとんど沈まない締まった雪。
ここから先はとにかく上に向かってまっすぐ,ひたすらまっすぐ一定のリズム,一定の歩幅で地道に一歩一歩進むのみ。
まったく何の変化も無い極めて単調な登り。
全般に風は穏やかな部類であるが,時折り斜面に突っ伏さないと持ってかれそうな風が吹き抜ける。
これをまともに顔で受け続けると凍傷間違いなし。
バラクラバ携行してるくせになかなかかぶらないワタクシ。
第1噴出口がだいぶ下方に遠ざかると,目に留まる明瞭なものと言えば,白い稜線以外皆無。
何にもネー!…あ,んでも上のほうにうっすら岩稜が見えてきた。それにしても遠近感の無いことおびただしい。
幸いなことに山頂付近のガスは薄く,外輪山直下の地形もはっきりとしてきた。
下方もうっすらと見通せているし,雪もやや固くはなってきたがアイスバーンには至らないし,斜度もそれほどきつくないしで,イケイケ。
次第に縦に筋状にシュカブラの面が現れだすと,外輪山まであと間もなくのところで雪面が途切れて凍りついた岩の世界に。
11:50
外輪山直下
(約1900)
およそ1900mライン,ここで打ち止め。スキーヤーはさらに岩稜をつめ,見えなくなった。
締まった雪のおかげで意外と安直にここまで来てしまった。ゆる〜いお天気のおかげ。
“普通に”風のある日はとてもじゃないが登りたくないな。
滑降の準備を終えていざ滑り出さんとゴーグルをつける時に,うっかり吹きかけた息がたちまち凍り付いて視界ゼロに(T_T)
どうせ天気も悪くないしと,ゴーグルなしで滑り出す。
12:05
滑降開始
上部の筋状のシュカブラを避けると,以降はどこまでもフラットで超特大の1枚バーン。
思いのほか柔らかい面が気持ちよく,斜面のデカさに合わせてターンもそれ相応に。
本人的には特大のターンも,斜面全体から見れば直滑降にしか見えねーべな(笑)
…いくつターンした?のか記憶喪失(←大げさ)のうちに第1噴出口跡。
12:20
第1噴出口跡
(約1200)
ここから下の密林はスノーシューに履き替えた方が効率がいいだろうと考えていたが,いざ直面すると行けるとこまで…と往生際の悪さが出て,時折り小枝にむち打たれながらもしつこく板を履いたまま高度を落とす。
密林の雪はやや深く,滑っては止まりを繰り返す状態では苦戦が予想されたが,かなりの低温のために雪が非常に軽く,まったく刺さること無しに,わりと軽快にこなせたんじゃないかな(^^ゞて具合に密林を抜け,焼走り溶岩流トップに。
12:35
焼走り溶岩流トップ
(約840)
上部はそこそこの斜度とそこそこの粉にありつけたが,あっという間にメローで広大な斜面に。
中間部ではその緩さにポールが必要になるだろうと思われたが,実際滑ってみると雪の良さのおかげか?ガンガン走る。
登りで使った登山道には入らず,駐車場まで溶岩流の上を辿ることとし,下部で一箇所板を脱いだ以降はポールでこぎこぎ,登山口着。
12:55
焼走り登山口到着
(約560)
上部よりだいぶ暖かさを感じたが,実はこれでもまだまだ寒く,片付けようとした板の雪はさらりと滑り落ちてまったく残らなかった。
まとめ
●深い粉は無かった
●オープンバーンのデカサとフラットさは比類無し!
登山口そばの真新しい日帰り温泉施設でひとっ風呂(500円)。
まったく温泉の雰囲気は皆無であるが,正面に岩手山東斜面を望むロケーションの良さは抜群(んでも午後の陽射しはマブシイ)。
風呂上りにどうしてもガマンできなくて食堂で生ビール(^・^)
“すぐ出る”つまみを頼んでグイグイ。
車中泊は決まっていたからもういいのだ!
勢いで生をもう一杯キュッと流し込み,定食を食らって幸せのうちにシュラフにもぐりこんだ。
明日はパフッと八幡平…ZZZ