屏風岳

2004.11.20

一昨年の今頃は底無しパウダーに歓喜していたのに…と感傷に浸りながら踏査。

刈田岳〜杉ヶ峰エリアから滑るとすると行き着くであろう井戸沢周辺と,屏風の東壁へのアプローチで後烏帽子から経由するであろう,ろうずめ平の様子を見て,さらに状況次第で後烏帽子,若しくは屏風へ。

宮城蔵王は澄川スキー場,木々がすっかり葉っぱを落とした以外はまったく「秋の景色」。

山形へ抜けるエコーラインは冬季閉鎖のため頑丈そうなゲートが固く閉じられている。

スキー場の中の林道をさらに上がり,スキー場最上部の後見ゲレンデ西側の井戸沢入り口に車をとめ,ここから入山。

ちなみにここからすぐ先で林道にも通行止めの看板あり。

10:00

井戸沢入口

(約1340)

少々風があり,北西,刈田岳〜熊野岳方面は山頂部が雲に隠れていたが,向かう南方,後烏帽子岳〜屏風岳方面は晴れ。

気温は10度に近いくらい。

とりあえずフリース1枚で行動開始。

左:後烏帽子岳 右:屏風岳に続く尾根(井戸沢入口より)

山道に入ってすぐに井戸沢への急な下り。

そしてまた急な登り。

澄川(コケで滑りやすく結構コワイ,左側に滝有り)

その後澄川,股窪沢と,大きく3本の沢を渡る都度,急で深い登り下りがある他は概ね緩やかな山道だが,冬季,杉ヶ峰あたりから下りてきて,この登り返しをラッセルするのはいやだな…沢が深くなる前に井戸沢の左岸に上がるか。

んでも杉ヶ峰から澄川源頭に滑り込むと既に深そうだけど。

冬季,まずは刈田から井戸沢に入ってみるか。

澄川を越え五色・熊野方面を振り返る

10:40

股窪十字路

(約1360)

まだ樹高が高く,大きな見晴らしがあるわけではないが,時折り木々の間から前方(南方)左に後烏帽子岳,右に屏風の壁が見え,これらの鞍部,ろうずめ平をまっすぐ目指す。

このころから暑ささえ感じていた陽射しが無くなり,吹き抜ける風が冷たいが,登ってる体にはちょうど良い。

ゆるゆると山道を上がっていくと右手に蔵王山岳会の小屋。

これを過ぎて間もなく鞍部のろうずめ平。

屏風の壁(お天道様もなくなりガスが…)

11:15

ろうずめ平

(約1520)

このあたりで道の脇に積もってた今年初の生雪接触に感激。

左に後烏帽子岳,右に屏風岳と,見晴らし良し。壁の様子も手に取るように分かる。

しかし雲行きは悪く,いずれの山頂部も間もなくガスの中に隠れてしまった。

ろうずめ平の分岐でシェルを羽織って小休憩。

風も強くなってきて,うーんこの先どうしようと迷う。

とりあえず当初の目的は達成されたし…。

あっついお茶すすりながらうろうろしていたら,すぐそばにまとまった雪発見。

嬉しくなって手のひらサイズの雪だるまを作る(ゴロゴロ転がすほどの量は無い)…完成。ここで皆さんをお出迎えするのだ。

一人で遊んでいたらあられも降ってきた。

でもこれは一瞬。すぐに風も無くなったので,もうちょっと上がってろうずめ平を上から見てみるか,と屏風の壁に向かう。

屏風の壁の中腹より,ろうずめ平と後烏帽子岳

歩き始めて間もなく,道には雪がちらほらとのっていて,滑りやすいには違いないが嬉しさが勝る。

壁はどんどん傾斜を増して本格的な登行に。

振り返るとろうずめ平と後烏帽子岳の全景が見て取れるが,山頂部はガスの中。

下界は晴れているようなんだがなぁ。

しかしこの屏風の斜面,フラットでいい感じ。楽しいだろうな…滑ったら。と妄想しながら登っていたら,だんだんイケイケになってきた。

相変わらず上部はガスの中だが,雪もだんだん増えてきて勢いがついてしまった。上まで行っちまおう。

とはいえ根が張ってない雪は滑りやすく,下りでの苦戦は想像に難くない。

上部ですっかりガスの中に入り,壁の様子は付近しか分からない。

黙々と登行を続けると尾根上へ。

尾根上

12:05

尾根上

(約1720)

道はすっかり根の張った雪に覆われていて,滑らず歩きやすい。ザクザクと雪の感触を確かめながら先に進む。

少し風が出てきて,壁を登って噴き出した汗を冷やす。シェルのすそを絞り込んで緩やかな道を辿る。

道は尾根に上がったあと,一旦山の西側に回りこんで杉ヶ峰からの道と合流し,再び東側の壁に向かう。この合流までにやや高度を落としてしまうのが,ちょっともったいない。

杉ヶ峰からの道と合流すると,夏場はあり地獄のようなずるずると滑りやすい泥の道も,半分雪に覆われてザクザクと滑らず歩きやすくなっていた。シアワセ。

気温は1〜2度で,木々も凍り付いてエビの尻尾が発達し始めている様子。

山頂

12:35

山頂

(1817.1←三角点)

間もなく山頂。

壁側を覗き込んでみるがガスでほとんど状況は分からない。

山頂の標識付近はほとんど雪が無く,イマイチ雰囲気に欠けるな…。

ベンチに腰を下ろしてお茶をすすりつつ,飯を食いながら天候の回復を待ってみる。

装備も板を持っていない他はほとんど雪山仕様だから,いつまでも待てるぞ。

(手前じゃなく後の枝にピント…)

付近をうろうろしながら写真を撮っていたら,ベンチに置いてたザックとテルモスが倒れて泥まみれになっていた(涙)

ザックにつけてた三脚やカメラのケース等にも泥が付いていたことに,いちいちショックを受けながら,付近の雪でごしごし洗う。

好転しない空模様と泥まみれ事件に一気にテンションが下がり,撤退を決める。

12:55

下山開始

下りは速い。根が張った雪のおかげ。

山頂を後にして間もなく,バラバラと盛大にあられが降ってきた。

風も強くなって木々もザワザワわめきたてるし,視界もないし,一人の山行はこんな時に心細い。

んでも降ってるのが雨じゃないのだけが嬉しい。

あっという間に壁の上に達し,壁の下降に。

やっぱり苦戦した。ろうずめ平まで,たかだか200mほどの標高差だが,根の張ってない雪の上で滑りまくった。疲れた。

ろうずめ平で視界が回復したが,天候の好転は望み薄な感じ。ノンストップで下山する。

14:20

井戸沢入口

まとめ

澄川の深さが一番ネックかなぁ。

山頂から,ろうずめ平〜秋山沢の様子も見たかったなぁ。

なんとなく感じは分かったが秋山沢から七日原の様子も見とかんとなぁ。

おまけ(蔵王山麓にて)