会津駒ケ岳

2003.12.29

冬型が緩んできた頃,福島は安達太良連峰の箕輪山に入るが,麓の天気の良さとは裏腹に,スキー場上部から上のガスが取れず,途中まで登るもまったく視界が利かず,結局撤退。

その足で,冬季に訪れたことのなかった奥会津は檜枝岐村へ車を走らせる。

七入りから尾瀬沼,若しくは会津駒の様子を探る程度と考えていたが,夕方近くに到着した現地は快晴!天気が持てば駒の山頂を目指せるかも?

夕刻の燧ケ岳(七入付近より)

翌朝の檜枝岐も快晴。

ただし午後から日本海の低気圧が進んで崩れてくる予報で,早めの下山が肝要。

朝飯の間に薄い雲が広がってくる。

もしかして上まで持たないかも…夏の車道の終点まで行ければいいかな,と少々弱気に。

しかも夏に登った駒の前半の登りのきつさを経験している身としては,その急斜面のラッセルは未知の世界。

さらに言うなら,2000m級の冬山登山はワタクシにとっては超Aクラス!

ともかく,行けるところまで。

8:15

滝沢登山口

さほど積雪は多くない印象。

近くの登山者用駐車場は除雪されておらず,付近の民宿の方のご好意で家の前に停めさせていただく。感謝。

ザックに板をつけ,スノーシューを履いて出発。

それにしても急な斜面。

車道をショートカットする登山道をラッセルする気にもなれず,車道上の先行の山スキーのトレースを使わせてもらう。

粉雪ながら,トレースのおかげで下が締まってラッセルはひざ下程度。

日差しが強く,風もないので暑い。

途中,南側の沢にスキーのトラックが数本。

沢は完全に埋まっていて,帰りはこの沢が良さそう。

9:25

滝沢登山口(夏の車道終点)

上写真左手に上がっていく階段を登って急な尾根の直登となる。

さすがのスキーもここから先はつぼ足のよう。

ここから山頂まで,道のりにして約5.3km。

既に結構な時間がかかってしまったけど,ようやくスタート地点なのかと憂鬱。

天気の良さを励みに登り始める。

密林の急斜面は骨が折れる。先行者のトレースがなきゃ無理だな。

トレースを外すと股下すっぽり。

それでも雪は少ないのか,やぶがあまり埋まってない。

背中のスノーボードが重いなー。

10:25

前半急坂のクライマックス

この辺だけ立ち木がなくて滑るのは楽しそう。

それにしても,先行者には頭が下がる。トレース無しでは,一人でこんな斜面登れん。

ここをクリアするとやや斜度が緩んでくるが,時折チラッと見える山頂方面はまだ,はるか彼方。

しかし,せっかくこの急坂を上がってきた以上,ただでは帰れない。

必ずや駒の小屋(山頂そば)まではと体にむち打つ。

このあたりで,通常2本持ってくスポーツ飲料(500ml)が1本しか入れてこなかったことに気づく。

他に水を1リットル持ってきてるから何とかなるだろうけど,ちょっとがっかり。

12:00

もう1本北東側の尾根を遠望

疲労困憊,そろそろ限界かな…と何度もくじけそうになりながら,さらにむち打って尾根道を上げていく。

森はやがて針葉樹に変わり,木々の間も広がっていく。

途中,5〜6人の登山者のパーティが休憩していた。

一昨日から入山していて下山途中とのこと。みなさんのおかげです。大事にトレース使わせていただきます。

駒の小屋までは1時間ぐらいだそう。

「ボードで滑ったら気持ちいーだろーなー」との言葉に,失いかけていた気力を取り戻す。

反対側に燧ケ岳

空は白いが,風景はくっきり。

冬季の燧ケ岳までは,七入からとても長い道のり。 好天を捕まえるのも難しいんだろうなぁ。

12:35

山頂方面

ほぼ気力だけでのろのろと歩みを進めていくと,ようやく山頂が間近に見えるところまで来た。

御池に至る尾根越しに左に燧ケ岳と右奥に至仏山

青空なら言うことなしだが。

12:50

駒の小屋への最後の登り

時折吹き抜ける強風(目の前が真っ白で見えなくなる)を除けば,いたって穏やかな天気。

13:00

駒の小屋到着

駒の小屋

やっとたどり着いた駒の小屋。

達成感と疲労感でいっぱい。

山頂まではほとんど登りもなく20〜30分の距離だが,もうダメ。

駒ヶ岳山頂

少々休憩してエネルギーを補給。

早々に滑降の準備。

天気が崩れてくる前に下山せねば。

13:15

滑降開始

バフバフパウダー。

オープンの斜面は長くないが,登り返す時間と体力があれば,写真左側の沢に続く大斜面を楽しめそう。

そんな余裕のないワタクシは,登ってきた尾根を忠実に滑り降りる。

林間に入ってもそこそこ開けた斜面があって,木々の間を抜けながらパウダーを満喫できるが,うっかりライン取りを間違えると,修正に登りを要する。

暴走しない程度に,立ち木に衝突しないように注意しながらの滑降。

下部急斜面までは,登りで「相当長かったな」と感じたとおり,滑り応えのある長さ。

ライン取りのミスで,何度か板を外してラッセルを強いられ,かなり骨が折れた。

しかも,山の下のほうは気温上昇で雪が重くなり,少しでも刺さるとなかなか抜け出せない。

途中,空が完全に雲に覆われて雪が降り出し,風も強くなってきた。

予報どおりだが,もうちょっともってくれ。

下部の急斜面はターンもままならない密林で,板に吸い付く雪とその重さに,もう少しで車道終点というところで降参。スノーシューを履く。

14:35

車道終点の滝沢登山口

大汗かきながら車道終点到着。

登りで良さそうと思った沢も,この重量級の雪ではつらそうなので,このまま登ってきたトレースをたどって下山。

15:05

滝沢登山口

登りは大苦戦,雪が締まってやぶも隠れてる3月から4月頃のほうが良いのかも(上部パウダーはすばらしかった)。

いつかは雪山にと思っていた会津駒ケ岳。苦労した分,達成感はデカイ。