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2003.1.13 姥ヶ岳
二日前に天気予報を見ていたら,気圧の谷の影響で北陸から北の日本海側は雲が出やすいものの,西から移動性高気圧が張り出してくるっていうんで,どうも悪くないらしい。春しか経験のない月山の姥が岳を狙う。

前日の午後に仙台を発ち,夕方にベースとなる志津温泉着。除雪されてるところまで入り,車を停め,早い夕食にする。
越えてきた奥羽山脈の素晴らしい天気に対し,こちらの山はことごとく山の上に雲がかかっている。天気予報どおりか。今日はこのまま車中泊。

夜10時ごろ寒さで目が覚める。外気温は−10度を下回っているよう。ムクッと起きだし山のほうを見ると,ナント,月明かりにくっきりと浮かぶ姥が岳と湯殿山!快晴だ(寒いわけだ)。
さらに未明,目が覚め外を見ると,ナントすごい星空!月も沈んでギラギラと輝いている。ラッキーな山行になりそう。
で,朝4時にセットしていたと思い込んでいた目覚ましが鳴らず,6時ごろ目を覚ます。外を見るとナント!一面の曇り空!…ワタクシ何か悪いことしました?(T_T)

7:00頃
気をとりなおしてシュラフをたたみ,朝食を済ませ,準備をしていたら,下から続々と山ボード(山スキーもいました)の団体があがってきて準備をはじめた。みんなでビーコンをチェックしあってる。スワローテールのボードもいたりして玄人の集団のよう。
こちらとしては力強いラッセル隊の出現と喜んでいたが,なかなか出発しないので,出発…。スノーシューを履く。
旧R112から姥沢への分岐で姥沢に向かう。南に朝日連峰を望むと,若干日差しがあるよう。
途中の宿から出てきて準備中だった山スキーヤーは,同じく姥が岳を目指すそう。あとから向かいますって言ってたけど,こりゃすぐ抜かれるだろう。

7:38
姥が岳は相変わらず雲の中。
おおむね姥沢への道路沿いに進み,途中つづら折れの道をショートカットしながら登っていく。

8:44
はじめのうちついていたトレースもあっという間に無くなり,一人ラッセル。何日か前のトレースがわずかに残っているが,ほとんど消えていてあんまり役に立たない。
ひたすらラッセルラッセル。あぁでも,昨年11月の西大巓よりゃあマシかな。けっこう締まってるので。

9:28
水分と糖分を補給しながらどんどん登っていくと,やがて尾根(姥沢から志津温泉へのコース)に出る。振り返ると山形市の方面が明るい。

反対は晴天時には月山や姥が岳が望めるところだが,厚い雲に覆われてよく見えない。姥沢へはあともうちょっと。

9:46
ひと踏ん張りで姥沢に到達。
春にはけっこうな広さの駐車場も4〜5mほどの積雪のだだっ広い雪原。数件ある宿もかなり埋もれている。
駐車場前のトイレ(上写真左端)も埋まってて使用不可(当たり前か)。尾根の上だけあって風も強く,けっこう寒い。

姥沢の宿のまわりをうろうろした後,建物の影で湯を沸かし,早い昼食。手袋を外すとたちまち(冷たくて)痛くなるので,ストーブを組み立てるのもおっくうだが,あったかいメシにありつけるのだ,ガマンガマン。

20分ほどでメシを済ませる。けっこうな疲労だし,冬の姥沢の様子もわかったし,そろそろ下山でもいいかなとも思ったが,せめて姥が岳の1枚バーンの直下までは行ってみるかと,さらに登り始める。

10:52
姥沢の宿から姥沢小屋のほうへは行かず,尾根を直登。しばらくして振り返ると,姥沢の駐車場付近に朝の大集団が到着したよう。

姥沢小屋もかなり雪に埋もれてる。

月山ペアリフトの方を見下ろすと3人の山スキーヤーがテントを設営中。
こっちに気付いたので手を振ってみると3人とも応えてくれた。バイバーイ。

姥が岳は山頂も見えてきたし,隣の湯殿山(下写真)も同様。これはやっぱり登るべきか?
昼飯直後だったこともあって,意外と快調に高度を上げる。1枚バーンの下まで来ると,時間的にも体力的にも「何とかなりそう」と,欲が出てくる。このまま山頂まで直登することに。

11:40
ひたすら一定のリズムで登りつづける。途中,北東の方角のペアリフト降り場付近に3人の山スキーヤーが見えた。彼らも姥が岳を目指すのか?
1枚バーンはほとんど沈まず快調に登っていけるが,上がって行くほどに風も強く,雪面も固くなっていく。 結局,上2/3はハードパック!スノーシューよりはアイゼンが欲しい感じ。しかも山頂が近づくに連れ再びガスが濃くなり,ほとんど何も見えなくなる。雪面もガチガチ。

12:01
上1/3は吹きさらしでシュカブラが発達。まともに滑れそうにナイナ…。

12:13
どんどん斜度が無くなり,そろそろ山頂付近かなと突き進んでいたら,唐突に雪庇の上に出る。姥が岳北側の雪庇。進路を西に修正し,間もなく山頂付近へ。ていうか木立とか目印がまったく無いのでよく分からず。ほとんどホワイトアウトの状態。磁石が無かったら動けんな…。
下は多分,ケルンか何かが凍りついたものだろう。
風が強いし寒いし何にも見えないし,飲もうと思って取り出したポカリも凍ってしまっていたので,早速滑降の準備。
すると間もなく,先ほどの3人と思わしき山スキーヤーが姿をあらわす。アングロサクソン系と思われる。一人が日本語を話せたので話していると,昨日も来ていたそう。なんとたくましい!「気をつけて〜」と別れを告げる。

斜度のあるところまで移動しようと磁石を確認,あれ?思いのほか(90度ほど)方向感覚がずれていた。この磁石間違いないだろなぁ?と南に向かって歩いていく。
斜度が出てきたところで板を履き,滑り始めるが,雪面がバッキバキにハードで,しかもでこぼこしてるので,滑りもままならない。さらに視界もほとんど利かず,上下左右の感覚もわからなくなってきた。ターンと思わしき動作をするたびに,ザーっという音だけが四方から(なぜ?)聞こえ,ふと停止したとき,…あれ?流れてる!え?雪崩れ?ハードパックごと?マズイッ!!パニックになってその場を離れようとするが,ちょっと落ち着け,もう一度止まって冷静に把握してみよう…止まってた…。マジビビリ。強風とガスで自分が止まってるかどうかもよくわからない。

さらにひとコケしたとき,ザックの外側のポケットにつけてたポカリが落っこち,雪面をどんどん転がってく。まだ間に合うとばかりそれを追いかけていき,間もなく追いつこうかというところで,うわっ!雪庇!!心臓バクバク…。ポカリはスーッと白い闇(表現おかしい?)の中に落っこちていった。南に滑ってるつもりがポカリを追いかけたために東側の雪庇に近づいてしまった。南に修正。

1枚バーンの半分ほど降りると,ようやく視界が利いてくる。
このあたりからは斜面もパウダーになってきて,とっても滑り甲斐のある斜面!しかも板が走る!姥沢の手前でかなり平坦な場所があって,歩くだろうなと思われたところも一気に通過する。
姥沢で若干の歩き後,志津温泉までの滑降。まだ藪が完全に埋まりきっていないものの,登りに苦労しただけあって,けっこう深いパウダー!斜度もあり!ブナ林を縫うように滑っていく。たまらん,この感覚!上と違って風もなく,平和な滑降。
この日は日中の気温がけっこう上がって下のほうは雪が重くなり滑らなくなる。斜度がなくなってきたところで板を外し,スノーシューに履きかえる。

駐車場まで間もなくのところに来て,脇から朝の大集団が滑り込んできた。やっぱりルートを選べば下まで滑ってこれるんだな…。なんでも「七横会(って言ったかな?)」と言う山形市を拠点に活動している団体だそう(ステッカーあり)で,今日は姥沢まで上がって滑ってきたらしい。いいなぁ,仲間がいっぱいいて。ラッセルがラクチンだし(笑)。
それにしても山スキーでも山ボードでも,みんなすぐ楽しく話し合える人たちばかり。人口が少ないからか。

14:00頃
志津温泉到着。「七横会」の人たちが輪になって帰りの会の最中。山形市に戻って今夜は飲会らしい。
帰りは例のごとく水沢温泉(200円)に入り(「七横会」の人もいた),月山ビールを買って一路仙台へ。今回はちょっと頑張りすぎた…足の付け根が痛い。

今回の教訓:やっぱりラッセルは複数でやろう!
※ 山頂以降の写真が無くてスミマセンm(_ _)m
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